北野では毎年2月25日にお講さんが開かれ、北野二十五日講とも呼ばれる。北野地内にはお寺がないが、北野の村民の手次ぎである浄蓮寺正覚寺応順寺長願寺と宇田の西勝寺西徳寺の六ヶ寺の住職を招いて先祖供養のお勤めをする。
また、達如上人が授けた「おふみさん(御文様)」という手紙が導師によって拝読される。
二十五日講は約400年にわたって行っている。北野は戸数が少なく、10年に1度当番が回ってくることや多額な費用がかかるため、1995年に専用の会所を設けてそこで執り行うことにした。また、2000年からは2月の第3日曜に変更した。

養老町大字宇田の枝郷に北野がある。天和貞享の頃、古田平八が大墳より移住して草開したと伝えられている。昭和半ばには21戸、かつては部落内に手を合わせる所なしと云われた所が、明治15年天満宮を祀り、同31年地蔵尊を、同43年馬頭観世音を夫々招致した。

北野は、古田(正覚寺門徒)野村(浄蓮寺門徒)森川(応順寺門徒)酒井(長願寺門徒)の四姓から成っているが、寺はそれぞれ安久、大墳、中、室原に所在し部落内にはないため右四ヶ寺門徒にて達如上人より御消息を受け、その後約百年綿々としてお講を続けてきたのである。

御消息の最期に「右如達如上人文 可有信心決定事 肝要成 四月晦日 釈達如(御印) 濃州多芸郡 四ヶ寺門徒 宇田村北野 廿五日講中」

と書かれている。

かつての二十五日講は毎年2月25日に勤められ、年行事宅において御仏壇を荘厳し、床の間には先祖代々の霊位の法名を飾り、その前も立派に荘厳される。北野四姓の師匠寺四ヶ寺に並び宇田の西徳寺西勝寺の住職を招待し、以下の3項目が主に勤められる。

1、先祖供養  阿弥陀経 短念佛 掛和讃回向 説教

2、お逮夜 正信偈 三首引(参詣者助音) 御消息拝読 説教

3、お日中 嘆仏偈 短念仏 回向 御消息拝読 説教

つづいて「田楽」にて会食が行なわれ、青年諸君が串けずりから全部の世話をし、村中が参るばかりでなく他家へ嫁いだ人たちも帰って来て、法悦の一日を過ごした。

二十五日講の他にも北野にはふたつ仏事が勤められていた。ひとつは「お寄講」といい、毎年一回全戸が師匠寺を招待し、部落全員に詣ってもらい、正信偈三種引き、御消息拝読、法話、お文拝読が勤められる。華束二個が参詣者に配布された。

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北野二十五日講=養老町史通史編P.655。 北野地区に二十五日講の名残が残り、今も先祖供養を行って真宗の教えが語り伝えられている。 表示位置は二十五日講を行う北野の集会所を示している。