滝元館遊季の里(たきもとかんゆうきのさと、養老町養老公園1290-167)は養老公園内に建つ老舗旅館である。
滝元館のルーツは江戸時代末期まで遡る。平成24年(2012)現在のご当主、A氏のご祖母によれば、滝元館のご先祖は養老の滝のそばの瀑布入浴所で焼餅などの販売をしたり、滝に打たれる人に浴瀑衣(よくばくえ)をお貸ししていた。
明治15年(1882)の養老公園全図には、掬水(きくすい、養老町養老公園1286-1)、千歳楼(せんざいろう、養老町養老1079)、豆馬亭(とうまてい、養老町養老公園1282、当時は村上楼)などとともにその瀑布入浴所が描かれている。養老の滝に訪れた修験者や有名な漢学者は、瀑布入浴所で滝に打たれる前に浴瀑衣に着替えたと思われる。滝行はおそらく江戸時代から行われていたので、滝元館は、全図が作成された明治15年 (1882)より前、江戸時代の後期頃からあったと考えられている。
大正になってから、現在の地に旅館を建て、空に近いため「瑞雲閣」と称していた。戦時中は、濃尾平野が一望できるため高射砲の陣地が近くにあり、軍隊に接収されて兵舎になっていた。
終戦を迎えてから「緑風荘」と名乗り、その後「滝元館」とした。
その後昭和33年(1958)に木造二階建てとし、客室を19室、大広間150畳の本格的な旅館を新築した。昭和38年(1963)には滝元館本館を鉄筋三階建てに建て替え、三階に展望風呂を造った。
その後、高度経済成長の波にのって発展したが、バブル景気が崩壊し、平成となってからは従来型の旅館では生き残れないと思い、いつの時代にも対応できる旅館を課題に取り組んできた。旅館名については、まわりの「風」「光」「景色」など季節や時間によって変わり行く時の流れを感じていただきたいと思い「季節を感じていただく山里の宿」、すなわち「滝元館遊季の里」と名づけた。平成9年(1997)に滝元館遊季の里の基本計画ができ、翌年旧館を取り壊しに掛かった。平成11年(1999)9月7日に竣工式を迎えて「滝元館遊季の里」として新築オープンした。
滝前広場に10年ほど前まで滝元館が経営していた茶店があった。
滝元館には今上天皇が1960年代頃、皇太子時代にご宿泊された。また、最近では三笠宮妃殿下が2012年10月の国体の時にご宿泊された。

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明治13年(1880)頃から滝谷への散策路など、養老公園周辺の整備・開発が始まった。表示位置は滝元館遊季の里を示している。