林照院(りんしょういん)の御厨子に安置されている善道大師像は、寛文年間(1661)大巻村柳原の地に柳照庵と号して創建した際に、根古地村の天照寺の開基、聖誉怒迪(しょうよじょてき)上人より賜った御尊像であり、「えび雑炊の善道大師御縁起」として語り継がれている。この地域は元来土地が低く水害が多く年々不作が続き、檀家もなく、心ある信徒に頼る貧しき草庵であった。西心坊という遊行僧は、日々一心に托鉢に声明を唱えこの地で供養に精進した。
本尊である善道大師尊像は秘仏であるが、「エビ雑炊の仏様」とも呼ばれ、天明の飢饉(1782~1786)の頃、満足なお供えができず、御尊顔が痩せてしまったように見えることから「ひえぼとけ」と呼ばれるようになった。しかし西心坊が五三川に多く産する「川えびの雑炊」を差し上げたところ柔和な表情に変わり、いつしか里人は「えび雑炊の仏様」と呼ぶようになったと地元では伝えられている。
現在の瑞穂は元根古地新田であり、大正13年(1924)4月1日より池辺村字大代となった。現在の寺の名称は浄土宗東地山林照院である。