栗笠の獅子舞は、養老町栗笠にある福地神社の祭礼において奉納されている郷土芸能です。栗笠は、江戸時代を中心に、湊として繁栄しました。その船問屋を勤めた佐藤家が、家運の隆盛・五穀豊穣・村内の安全を祈願して、福地神社の祭礼に獅子舞を奉納させたのが起源と伝えられています。湊の住民は、敬神の念が強く、気風が明るく、芸能を好む傾向があり、栗笠湊においても、獅子舞が地域の娯楽として根付き発展しました。
その種目は48にも及び、岐阜県下でも他にみられない民俗芸能として、昭和45年には県重要無形民俗文化財に指定されました。船頭さん達が、様々な地域で活躍し、見聞したものを取り入れた結果、このような多くの種目になったと推定されています。
明治時代になってからも、栗笠に在住する若者は、獅子連中に入ることを義務とし、名誉と思い、寝食を忘れて古老・先輩から獅子舞やお囃子の伝授を受けました。戦中には継承が危ぶまれたこともありましたが、栗笠はそうした困難も乗り越え、現代にまで獅子舞を引き継いできています。そしてその結果、地域の絆はさらに深まり、今日にみるまで栗笠は発展してきました。
しかし、時代の変遷により、後継者が獅子芸の習熟のため2~3か月にわたる長期の練習を続けることが難しくなり、現在においては、栗笠の獅子舞保存会が、その伝承に尽力するものの、その保存には課題が山積しています。
この「後継者の皆さんへ」のコーナーは、そうした栗笠の獅子舞の継承に取り組む栗笠の獅子舞保存会の支援と、正確な記録を将来に保存することを目的として製作しました。
栗笠に残された資料や、伝統芸能の保存に取り組む現代の獅子連中の姿勢は、仲間を思いやる気持ちや、感謝の気持ち、自分たちのまちを誇りに思う気持ちこそが、栗笠発展の礎であったことを我々に教えてくれます。
このコーナーにより、後継者の皆さんが、栗笠の獅子舞をより深く理解し、次の世代に正確に継承することで、栗笠の発展を支えて頂くことをお願い申し上げます。