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象鼻山発掘状況24
2011.01.06
今日になって、ようやく象鼻山51・53号墳の掘り下げに着手しました。
まだ、始めたばかりですが、表土からは山茶碗(中世の陶器)が出土しています。
中世に山地が活発に利用されていたことを考えれば、それほど不思議なことではないですが、山頂部は瀬戸美濃ばかりだったので、少し気になります。
あと調査が予定よりやや遅れているので、2月11日の象鼻山シンポジウムに間に合うかが心配です。
はやく土器が出土しないかな・・
報恩講
2010.12.24
先日、養老説教場の報恩講の取材に行ってきました。
養老町には80以上のお寺があり、その多くが浄土真宗です。
浄土真宗のお寺にとって1年の内、最も重要な行事が、宗祖である親鸞聖人に感謝の意味で行われる報恩講です。養老町では12月から1月にかけて多く行われています。
聞き取り調査によると、昔は報恩講に大勢お参りにきており、露店が並んだり芝居小屋が立ったお寺もあったそうです。しかし、現在では参加者も減ってしまいました。
また、新婦がお参りするという習わしが残っており、沢田真泉寺の門徒さんは、
「今年は白無垢のお嫁さんがお参りに来たよ。」
と仰っていました。
タギゾウくんのデジタルコンテンツ
2010.12.20
養老町教育委員会では、象鼻山古墳群にもっと気軽に 触れていただくため、タギゾウくんというキャラクターを使用したデジタルコンテンツを作っています。
写真は、そのためのモデルで、来年の4月に当HPで公開する予定です。
子ども達を意識したコンテンツなので、難しくならないように気をつけています。
気に入ってもらえるといいのですが…
昭和御大典
2010.12.16
養老町教育委員会では古い写真の収集を行っていますが、少しずつ数が増えてきました。
今日も養老町橋爪の方から、4冊のアルバムをお借りすることができ、その中に昭和御大典の祝宴の写真を見つけました。この時は橋爪のほとんど人が象鼻山に登り、祝宴に参加したそうです。宴では、青年団や在郷軍人会が仮装をして神輿を担ぎ、参加者を楽しませました。
所有者の方はその様子を、
「祝宴は10日間も続き、花火も打ち上げられて、とても楽しかった。あんなに賑やかなお祝いをしたのは、御大典だけだ。」
と懐かしそうに語っていました。
昭和38年の遠足
2010.12.14
養老町教育委員会では、古い写真をお借りしてデジタル化しています。
この写真は、昭和38年の春に行われた広幡保育園の遠足で、養老公園に行ったときのものです。場所は、渡月橋のたもとの石碑の前です。
先日の聞き取り調査のときにお借りしたものですが、なぜか私も写っていました・・・
今でもそうですが、当時も保育園や小学校の遠足は養老公園でした。
桜並木がトンネルのようで、とても綺麗だったのを覚えています
みなさんのご家庭にも古い写真があれば、ぜひ教育委員会へ連絡ください。
ご協力よろしくお願いします。
象鼻山44号墳の被害状況。
2010.12.13
先週のことですが、象鼻山44号墳の盗掘被害の状況が明らかになりました。
盗掘抗の規模は2.5×2.0mで、深さは1.1mです。
墳頂部のやや北東よりに掘削されていました。
盗掘抗の土層を観察するかぎり、埋葬施設への影響はなさそうなんですが、掘り起こした土の中に灰色の粘土が多量に含まれていたことが気になっています。
盗掘抗の掘削面にはこれが見あたらず、何が原因で掘り起こした土に、この山にない灰色の粘土が混じるのか、よい理屈にいきあたりません。
とりあえず、掘り起こした土の中に、遺物がないかどうかを確認してみるしかないですね・・
養老公園の丁石(ちょうせき)
2010.12.09
以前、聞き取り調査の際に、養老公園と白石地区にある丁石の話を聞き、昨日、現地調査へ行ってきました。丁石とは、神社・仏閣、名所や史跡までの距離を示した石であり、1丁(109.09m)おきに設置された道標の一種です。
聞き取りでは、1丁から6丁までと10丁と12丁の8本が残っていると伺ったのですが、気に留めたことがなかったので、見つけるのに苦労しました。
特に3丁の石は、昭和47年(1972)頃の滝谷改修工事の際、石垣に組み込まれてしまったそうで、教えてもらわなければ判りませんでした。
滝谷右岸、紅葉橋より上流の石垣の中にあるので、興味のある方は探してみてください。
近くまで行ったので、滝を見てきました。
最近、寒さが増してきたので、年明けには雪が降るかもしれませんね。
雪化粧をした滝を見るのも楽しみです。
象鼻山発掘状況22。
2010.12.08
12月も中頃に近づき、象鼻山もずいぶん寒くなってきました。
今週も、先週に引き続き象鼻山36号墳の表面の検出を進めていますが、今度は北側の周溝から壺が出土しています。
このように墳墓の端から土器が出土することは、しばしばあることですが、象鼻山36号墳では1トレンチに1個体ずつ土器が出土しているのが気になりますね。
たまたま、土器があるところを掘ったのかもしれません・・
他に、44号墳の盗掘被害の状況も、明らかになってきました。
思ったよりも深く掘削されていましたが、埋葬施設への影響はなさそうで一安心しています。
象鼻山発掘状況21。
2010.12.03
今週は、象鼻山36号墳の墳丘表面の検出が進み、徐々にですが当時の姿が表れてきています。
そんな中、墳丘端から写真の土器が出土しました。
椀形高杯(わんがたたかつき)といわれる器で、とても丁寧に作られています。
お葬式に使用されたものでしょうね。
器にどのようなものを盛りつけたかは分かりませんが、器の特徴からお葬式の年代を絞り込むことは可能です。
とくに高杯とよばれる土器は、年代を絞り込みやすいのでありがたいですね。
この高杯、本来はお椀の部分と脚の部分があるのですが、出土したものはお椀の部分しかありませんでした。
ただ、少し前に、すぐ近くで脚の部分が出ていたので、ひょっとしたらくっつくかもしれませんね・・
試してみるのが楽しみです。
象鼻山44号墳の被害確認。
2010.12.01
昨年、象鼻山44号墳は盗掘被害にあいました。
平成21年11月3日には土地所有者から被害届も提出されています。
象鼻山古墳群は地元の人によって定期的に見回りされているのですが、山中に入った場所であったため気がつかなかったようです・・
このため、今日から44号墳の被害状況を確認する作業を開始しました。
まずは、掘り返された土を集めるところからはじめています。
昨年の10月、この盗掘痕が発見されたときの憤りは、今でもよく覚えています。
これにより、失われたものほど、得られるものがあるとは思えませんが・・
被害が小さいことを願うのみです。
象鼻山20・36号墳の現地説明会を開催しました。
2010.11.29
平成22年11月27日(土)13時より、象鼻山20・36号墳発掘調査の現地説明会を開催しました。
参加いただいた皆さま、またスタッフとしてご協力いただいた橋爪区の皆さま、ありがとうございました。
当日は、晴天に恵まれ、紅葉の中で象鼻山古墳群の発掘調査状況を見ていただくことができました。
中心部から遠く、標高も低い位置にある墳墓が、規模・築造方法・築造時期など多くの点で、中心部に近い墳墓となんら遜色がないことが、今回の大きな成果だと考えていますが、いかがだったでしょうか。
この後は、20・36号墳の調査を完了し、51・53号墳の調査に移ります。
次回の現地説明会もぜひご参加ください。
明日は、象鼻山古墳群発掘調査の現地説明会です。
2010.11.26
今日は、明日の現地説明会に備え、象鼻山に見学者を迎える準備を進めました
今回、調査成果を公開する20・36号墳は、少し山を入ったところにあるため、特に足元の整備に気をつけています。また、出土した土器のうち、残りのよいものについては、展示の準備もしています。
晩秋を迎え、やや寒くなってきましたが、明日は天気もよさそうなので、ぜひこの機会に象鼻山を訪れてみてください。
現地説明会は午後1時から3時までです。車で来られる方は、ふもとに駐車場を用意しておりますので、係員の指示に従って駐車してください。
多数の参加をお待ちしています。
山口俊郎先生祥月法要
2010.11.25
養老町役場では始業前、「宝暦治水サツマさま」と「おんな船頭唄」が流れます。新入職員の時は驚きましたが、今では聞き慣れてしまいました。
「おんな船頭唄」を作曲した山口俊郎先生は、昭和56年(1981)に80歳で他界しました。今日11月25日は、祥月命日であり養老町高田の専念寺で法要が行われました。焼香の後、代表曲「おんな船頭唄」と「男のブルース」を合唱しました。毎朝聞いているので、僕も一緒に唱うことが出来ました。
山口俊郎先生について詳しくはこちらから
象鼻山20・36号墳の調査成果の公表について。
2010.11.24
象鼻山20・36号墳の発掘調査について、まとまった成果が得られたため、それらの成果を公表しました。
その概略は以下のようなものです。
① 象鼻山20号墳が約16mの方墳、象鼻山36号墳が約20×17mの方墳であること。
② それぞれの墳墓から出土した土器により、20号墳が2世紀後半頃(廻間Ⅰ式前半)、36号墳が2世紀中頃(廻間Ⅰ式初頭)に築造された可能性が高くなったこと。
③ どちらの墳墓も、大規模な整地を行った後に墳丘の築造を開始しており、象鼻山古墳群の他の墳墓とよく似た築造方法を採用していること。
この結果、象鼻山の中腹に位置する象鼻山20・36号墳も、山頂部の墳墓とほぼ同時期に築造されたことが明らかになり、象鼻山古墳群が、1号墳を例外として、西暦2世紀後半頃に一斉に計画的な造墓を進めた遺跡であることが明確になってきました。
このようなあり方は、一つの地域の有力集団が代々の統率者を継続的に葬るという一般的な古墳群とはかけ離れたもので、どうやら象鼻山は複数の集団の有力者を埋葬する共同墓地であった可能性が高いようです。
これらの成果の周知を目的として、象鼻山20・36号墳の発掘調査現場を公開し、現地説明会を開催します。日程は、平成22年11月27日(土)午後1時から午後3時までで、小雨決行、雨天の場合は中止です。ふもとに駐車場を用意しておりますので、係員の指示に従って駐車してください。
また、全体の調査終了後、平成23年2月11日(金・祝)に、石野博信先生(香芝市二上山博物館館長)、宇野隆夫先生(国際日本文化研究センター教授)、赤塚次郎先生(愛知県埋蔵文化財センター副センター長)をお呼びして、象鼻山古墳群シンポジウムを開催します。さらに当日は、象鼻山古墳群で出土した遺物や、この象鼻山古墳群の形成に深く関わった日吉遺跡の出土品も展示する予定です。
会場は養老町民会館(養老町石畑483-2、0584-32-1281)です。
現在、象鼻山の山頂は紅葉も見頃で、今週末の現地説明会は古墳以外もおすすめできます。
ぜひ、象鼻山に残された2世紀の風景を見に来てください。
象鼻山発掘状況20。
2010.11.22
今日は天気に恵まれず、象鼻山の発掘調査はお休みになりました。
午後からは見学の予定もありましたが、こちらも中止ですね。
そのため今日は、先週金曜日に象鼻山36号墳から出土した土器を報告しておきたいと思います。
出土した地点は36号墳の周囲を巡る溝で、種類は器台です。まだ洗浄中ですが、中空部分の径が大きめで、脚部に3方向の透孔を確認しました。
他に、小片ではありますが、この器台のすぐそばで、鉢の口縁部も出土しています。
詳細な検討はこれからになりますが、これまでの成果とあわせ、かなり象鼻山36号墳の築造時期を絞り込むことができそうです。
また、36号墳は、古墳群の中心から遠く、標高も低い位置にあるので、こうした情報は象鼻山古墳群全体を評価する上でも大きな意義をもちそうです。
第47回水谷賞受賞式
2010.11.19
養老町田(た)出身の水谷三郎先生は、昭和25年(1950)より母校である上多度小学校へ本の寄贈を始めました。水谷三郎先生が亡くなった現在も、ご遺族がその意志を継ぎ、毎年約40冊の寄贈が続けられ、その数は5000冊以上にのぼります。
上多度小学校では、その感謝の意味を込めて年に一度、全校児童による「水谷賞読書感想文コンクール」を行っており、その受賞式が11月19日(金)に行われました。
今年の水谷賞(最優秀賞)には、6年生の田中君の「生きていることに感謝する」が選ばれました。作品では、不治の病に冒されながらも懸命に生きる著者の姿から、命の尊さや生きる勇気を学んだことが表現されていました。
このコンクールは今年で47回目となりなりました。役場職員の方々に覚えているか質問したところ、皆さんしっかり覚えていました。中には入賞したことがある方もいて、驚きました。あと3回で50回となりますが、それ以上に末永く続いてほしいですね。
水谷三郎先生について詳細はこちらをご覧下さい。
象鼻山古墳群調査整備委員会の開催。
2010.11.17
今日は、象鼻山20号墳と36号墳の発掘調査に伴う調査整備員会を開催しました。
委員の先生達からは、両墳墓の調査について様々な助言や指導をいただき、いくつか悩んでいた問題点も解決の糸口が見えてきました。
また、象鼻山古墳群全体の評価についても、今回の調査で方向性が定まってきていることを確認できました。
その内容については、まもなく正式なかたちで公表することになりそうです。
現地説明会までは、あと10日。
今が正念場ですね・・
象鼻山発掘状況19。
2010.11.15
象鼻山20・36号墳の現地説明会まであと2週間ほどとなり、どちらの墳墓についても、築造工程の情報が得られ、また築造時期も絞り込めるようになってきました。
ただ、いくつか新しい課題も浮上しつつあります。
例えば上の写真ですが、これは20号墳の墳頂端付近で検出できている石列です。この石列、左隣の調査区では検出できていますが、右隣にはありません。
平面形は四角を呈するようですが、どうやら全周せず墳丘東側だけに設置されているようです。
これまでに調査した墳墓にも、限られた位置にだけみられるものがありましたが、いずれも方角はバラバラ・・
いったい何のためのものなんでしょうか。
こうした悩みがある一方、築造工程の解明については比較的順調です。
あいかわらず、墳丘規模に似合わない土木量ですが、慣れてきちゃいましたね。
象鼻山発掘状況18。
2010.11.11
今週の象鼻山古墳群の発掘調査では、20・36号墳の墳丘の掘り下げが進んでいます。
その結果、どちらの墳墓も墳丘を構築する前に、大規模な整地を伴うことが明らかになってきました。
どうやらこれまで調査してきた他の墳墓とよく似た特徴をもつようです。
ただ、今回調査している墳墓は、いずれも墳丘内部に岩盤層の高まりが残るなど、これまで調査した墳墓と異なる点もあることが分かってきました。
どちらの墳墓も、傾斜のきつい斜面に立地していることが、こうした違いの原因ではないかと推測していますが・・
不明な部分もまだ多く、築造工程の詳細を確認できるのは来週になりそうです。
県・文楽能大会に参加
2010.11.09
11月3日(水)、瑞浪市総合文化センターにて「第15回岐阜県文楽・能大会みずなみ2010」が開催されました。養老町からは室原文楽保存会が参加し、「絵本太功記十段目尼ヶ崎の段」を披露しました。
室原の文楽人形は着物を着せても約30cmから50cm程度の大きさしかなく、広いホールでは人形の動きが見づらいという欠点がありますが、雰囲気は伝わったようです。観ている方から「初めて観たけど、いいもんやね」という言葉をいただきました。
また、ロビーでは保存会の方に指導を受けながら文楽人形を操るミニ教室も行われました。
中津川市・恵那市・本巣市・瑞浪市・養老町の5市町と7保存会でつくる「岐阜県文楽・能振興協議会」が開催している当大会の来年度の会場は、養老町になります。ぜひ、参加していただき伝統芸能を身近に感じてみてください。
室原文楽についてはこちらをご覧ください。