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象鼻山発掘状況17
2010.11.05
今週の象鼻山の発掘調査は、比較的出土遺物に恵まれました。
上の写真は、象鼻山36号墳の遺物出土状況です。
墳丘の周囲を巡る溝から出土しました。赤彩された壺の口縁部です。
また、20号墳では、墳丘盛土中から壺形土器の口縁部が出土したほか、溝から壺形土器の底も出土しました。
これらは、両墳墓の築造時期を探る上で重要な手がかりとなりそうです。
次の課題は、墳形の確定と、築造工程の解明ですね。
養老町美術展
2010.11.04
10月31日(日)から文化フェスティバルの一環として、第45回養老町美術展が開催され、一般の部の作品が町中央公民館・中ホール・町民会館に展示されています。
日本画や書、手芸など8部門に町内在住(在勤・通学)の方々の力作236点が出品されています。この展示は11月7日(日)までです。
また、町内小中学校より選出された少年の部の優秀作品は、11月12日(金)から14日(日)まで中ホールにて展示されます。合わせて各幼稚園児や各保育園児の作品、子ども会活動を紹介した壁新聞の展示もあります。
なお、同会場にて第29回養老町菊花大会も11月10(水)まで開催されており、色とりどりの菊が展示されています。
私も今までに何度か出品しましたが、少年の部で奨励賞を1度もらっただけです。
全国各地から昨年を上回る多数の応募をいただきました第11回「家族の絆 愛の詩」は、無事審査が終わりました。一般の部・小中学生の部とも心温まる作品の中から各賞が選ばれました。審査結果はこちらをご覧ください。
なお、表彰式・詩の発表会は平成23年1月30日(日)を予定しております。
東莠南畝讖(とうゆうなんぽしん)の碑
2010.11.02
10月31日(日)、養老町沢田の真泉寺で、「東莠南畝讖の碑」の除幕法要が行われ、約50名が参列しました。
「東莠南畝讖」とは、享保16年(1731)から寛延元年(1748)にかけて、同寺の住職「毘留舎谷(びるしゃや)」が記したとみられる図譜であり、養老町だけでなく関ヶ原や伊吹地方などの動植物467点が描かれています。その中には明治24年(1891)に下呂で発見されたギフチョウが「錦蝶」の名前で描かれています。
この資料は国会図書館が所蔵しており、、今のところ現存する最古の動植物図譜ではないかといわれています。
石碑を寄進した真泉寺の門徒の方は、
「地元には図譜に関するものが残っていなかったけれども、この石碑を建てたことで先人の功績を伝えていける。」
と喜んでいらっしゃいました。
象鼻山発掘状況16
2010.10.27
11月も近くなり、象鼻山での調査も、そろそろ防寒対策が必要になってきました。
今週から調査がはじまった36号墳も、表土の掘削はほぼ終了し、現在は墳丘表面の検出を進めています。
ただ・・・ この36号墳の近くには大スズメバチの巣があるようで、調査区のそばのクリの木にいつも数匹とまっています。どうやら樹液が目当てのようです。
また、36号墳の墳頂部には、やや細い木があるのですが、3m位の高さに謎の爪痕が・・・ まだ新しい感じです。
防寒だけでなく、安全対策も早めに講じたほうが良さそうです。
象鼻山発掘状況15
2010.10.25
今日から象鼻山36号墳の掘り下げがはじまり、20号墳と36号墳の調査を併行して進められるようになりました。
36号墳の調査はまだこれからですが、20号墳については、その築造時期や、築造工程などの情報が得られつつあります。
写真は、20号墳の墳頂部やや東で検出できている石列です。現状での土層観察では墳丘完成後の表面に露出しない可能性のほうが高そうです。
また、この石列で気になるのが、用いられた砂岩の脆さ。スコップで簡単に削れるくらい風化が進んでいます。
これまで調査した墳墓では、用いられている砂岩はいずれも固く、間違って掘り潰してしまうような心配はなかったのですが・・ 20号墳は違うようです。
慎重に掘り進めないと危ないですね。
この不思議な20号墳、多くの木に囲まれているため、調査中に野鳥を見かける機会が増えました。下の写真は、20号墳のそばの木に巣穴をほるキツツキ(コゲラ)です。
仲良くできるといいな。
象鼻山発掘状況14
2010.10.22
20号墳の発掘調査が進む中、36号墳も調査の準備が整いました。
36号墳はこれまで全長17.8mの方墳と推定されていましたが、掃除が終わった後の状況をみると、なんだか大きく感じます。墳形もひょっとしたら変わるかもしれませんね・・
掘下げがはじまるのは、来週から。
どのような結果が得られるか、今から楽しみです。
養老町文化財保護協会での講演。
2010.10.20
昨日は養老町中央公民館において、養老町文化財保護協会の会員研修会が開催されました。
私も1時間ほどお話をする時間をいただき、日頃の業務の中で感じる課題や、それらをクリアするために町教委で行っている取り組みなどを紹介しました。
ただ、文化財の保護やその活用といった問題は、一朝一夕に片付く性格のものではないですよね・・
先達の築いたものの上に、さらに地道な取り組みを重ねていくことが、次につながっていくような気がします。
それにしても最近の保護協会からは、養老町の文化財が直面している問題に正面から取り組もうという意志を強く感じます。
こちらも、この変化に対応できる準備をしておかなければならないでしょうね。
さて、このウェブサイトですが、明日はサーバーメンテナンスにより、1日更新をお休みさせていただきます。そのため、次の更新は明後日になりますので、よろしくお願いします。
象鼻山発掘状況13
2010.10.15
象鼻山12・14号墳の作業が終了に近づく中、象鼻山20号墳の掘り下げがはじまりました。
象鼻山20号墳は、山頂部をやや南に下がった位置にある方墳で、全長約16.5mと推定しています。
まだ、調査は始まったばかりなのですが、すでにそこそこの土器片が出土しています。
上の写真は、そのうちの一つで、おそらく壺の体部片です。よくみると、波状や直線状の文様が施されているのが確認できます。
このほか、甕や鉢も発見されました。
調査が進んでいないため、出土地点の評価や土器片の編年的位置づけはこれからになりますが、調査の進展が楽しみな状況です。
また今日は、象鼻山の栗でつくられた栗きんとんをいただきました。
とってもおいしかったです。
ふるさと養老秋まつり
2010.10.13
養老公園もみじまつりが、10月1日から11月30日まで養老公園一帯で開催されています。とくに今年は養老公園開設130周年にあたり、様々な記念イベントがあります。
その一つである「ふるさと養老秋まつり」が10月9日(土)に開催され、私は「養老公園内史跡めぐりスタンプラリー」に参加してきました。養老公園内の5つの史跡をめぐるもので、約8Kmを3時間ほどかけて散策します。
あいにくの天気ではありましたが、全ての写真シールを集めることができました。
チェックポイントの一つである妙見堂では、秋海棠の花にも出会いました。
ふるさと養老秋まつりは翌10日(日)にも行われ、晴天の中、大勢の方が訪れたそうです。
次は、秋晴れの日にもみじを見に行こうと思っています。
象鼻山古墳群の視察依頼。
2010.10.12
養老町教育委員会では、平成23年2月11日に象鼻山古墳群シンポジウムの開催を計画しています。
これに伴い、その発表者をお願いする予定の石野博信先生に象鼻山古墳群の視察を依頼し、今日実現しました。
象鼻山12・14号墳の調査状況を中心に説明し、これに対し重要な助言をいただきました。
ありがとうございます。
中でも、岩盤上面に分布する礫群へのご意見が、大きな課題として残りそうです。
人の手によるものなのでしょうか・・
さて最近の象鼻山山頂では栗のシーズンがはじまっています。
中でも今日は連休中の雨の影響か、たくさんの栗がおちてきました。
栗きんとんになって再会できる日が、今から待ち遠しいです。
象鼻山発掘状況12
2010.10.07
象鼻山12・14号墳の図面作成が依然として続いていますが、併行して20・36号墳の調査準備に着手しました。
今度の墳墓は、両方とも茂みの中にあるので、たどり着くのが大変です。
とりあえず最初は、道づくりと樹木の伐採からはじめました。
どちらも、中心部からやや外れた位置にある墳墓であり、その所属時期がいつになるのか今から楽しみです。
田中道麿翁慰霊法要が執行されました。
2010.10.04
平成22年10月4日(月)9時より、養老町飯ノ木の長円寺にて、田中道麿翁顕彰会主催による54回目の慰霊法要が執行されました。
田中道麿翁は養老町飯ノ木出身の国学者で、万葉集の研究に大きな功績を残した人物です。
この道麿翁は万葉集の研究だけでなく、自身でも多くの歌を残しました。
それらは、顕彰会副会長の山口一易先生によって、『道麿さんの歌』に詳細にまとめています。
その内容をみると、歌の奥深さを感じさせられる一方で、意外に遊び心をくすぐるような歌が多く、その敷居が低いことに驚かされます。
特に、地名や生き物の名前を歌に詠み込んだ道麿翁には親近感さえ感じますね。
地元の方が、翁のことを「道麿さん」と呼ぶのもわかる気がします。
こうしたことから、今年の慰霊法要でも地元の広幡小学校6年生がつくった歌が披露されました。
今年は心意気を歌った作品が多く、力作揃いでしたが、その中でも中島さんの
前向きの 心は常に 輝いて 私もまっすぐ 輝きたい
という歌が私には印象的でした。
心の中でタギゾウくん賞を贈りたいと思います。
象鼻山発掘状況11
2010.09.30
現地説明会から10日が経ち、作業着が半袖から長袖に変わりました。
現在は、次の調査の準備と併行して、12・14号墳の平面検出を進めていますが、これによりいくつか新たな事実が明らかになりました。
その中で、今回ご紹介したいのが、12号墳の墳丘東側での土抗(ちょっと大きめの穴)の発見です。
これまでは、墳丘断面の情報しか無かったため、これを墳丘完成時に東側を巡る溝を配置した結果と考えていましたが、この調査区の平面検出により、これが土抗であることが判明しました。
そして、完成した墳丘の東側には、溝はなかったことが明らかになりました。
奥の壁の黒色土層下のラインが墳丘完成時の遺構面と考えています。
4号墳と同じ状況みたいですね。
この土抗の埋土からは清郷型甕が出土していたため、その解釈に悩んでいましたが、古代末から中世初頭くらいに12号墳の端に葬られた人がいたという解釈で落ち着きそうです。
さて最近の象鼻山山頂には毛虫が増えてきました。
気がつくと袖にくっついていたりします。
そのため、蜘蛛の巣にかかる毛虫も目立つようになってきました。
下の写真は、毛虫を糸でグルグル巻きにするジョロウグモです。
いっぱい捕獲しちゃってね。
象鼻山12・14号墳の現地説明会を開催しました。
2010.09.21
平成22年9月19日(日)13時より、象鼻山12・14号墳発掘調査の現地説明会を開催しました。
参加いただいた皆さま、また当日スタッフとしてご協力いただいた橋爪区の皆さま、ありがとうございました。
当日は、晴天に恵まれ、たくさんの方々に象鼻山古墳群の発掘調査状況を見ていただくことができました。
墳丘の規模に似合わない土木量と、労力の増加より墳墓群のレイアウトを重視することが、象鼻山古墳群の大きな特色の一つと考えていますが、いかがだったでしょうか。
この後は、12・14号墳の調査を完了し、20・36号墳の調査に移ります。
次回の現地説明会もぜひご参加ください。
なお、この最新ニュースが、当HPを開設してからちょうど100件目のニュースになりました。
今後もこれくらいの頻度で更新していきますので、おつきあいのほどよろしくお願い致します。
現地説明会の準備。
2010.09.17
現地説明会を明後日に控え、象鼻山に見学者を迎える準備を進めています。
足元の悪そうな所には、写真のように土嚢で道をつくってみました。
また、つまづきそうな切り株の除去や、調査区まわりの草刈りなどもあわせて行っています。
さらに、地元である橋爪区の方には、トイレを掃除していただきました。ありがとうございます。
季候も良くなり、山頂にはとても気持ちの良い空気が流れています。ぜひこの機会に象鼻山を訪れてみてください。
現地説明会の開始は午後1時からですが、4時半までであれば、いつ来ていただいても問題ありません。
多数の参加をお待ちしています。
象鼻山12・14号墳発掘調査成果の公表。
2010.09.15
象鼻山12・14号墳の発掘調査もそろそろ終わりが見えてきており、まとまった成果が得られつつあります。
そのため、それらの成果を公表しました。
その概略は以下のようなものになります。
①象鼻山12号墳が約18mの方墳、14号墳が約16mの円墳であること。
②象鼻山12号墳の墳丘整地面に掘削した溝から出土した土器片により、12号墳の築造が廻間Ⅰ式期である可能性が高くなったこと。
③象鼻山14号墳の築造が、層位の観察により12号墳とほぼ同時期と判断できること。
④12・14号墳の築造が、山の斜面を整地した後、墳丘のほとんどを盛土で構築する方法でなされており、墳丘の規模に比して多大な労働力を伴っていること。
そしてその結果、山頂部やその周辺の墳墓群と象鼻山1号墳の間には未だ空白期間が残ることになりました。次の調査の課題となりそうです・・
現地説明会は、今月19日(日)の13時からで、小雨決行、雨天中止です。
この時期の墳墓で墳丘が完全に残っている例は珍しいと思いますので、ぜひご参加ください。
また、今朝から駐車場の問い合わせが寄せられていますが、ふもとに用意しております。係員の指示に従って駐車してください。
今朝の現場でもまたヒキガエルに出会いました。
山中穴だらけにしているので、迷惑そうな表情です。
もう少しだから、こらえてね・・
象鼻山発掘状況10
2010.09.10
象鼻山古墳群の発掘調査をはじめて7週間が経ち、やや暑さがやわらいできました。
上の写真は、整地面に掘削された溝の中で検出できている礫群です。
全てではありませんが、墳丘西側を中心に複数の地点で、これと同じような状況が確認できています。
現段階では、これが意図的なものである可能性が高いと考え、掘り下げる前に実測をしています。
また、12号墳墳頂の周囲の石列も実測を開始しました。
現地説明会が近づき、現場ではやや緊張感がただよう様になってきていましたが、調査区にネズミが迷い込んだりする、象鼻山のにぎやかさに元気をもらって調査を進めています。
象鼻山発掘状況9
2010.09.08
象鼻山12・14号墳の調査は7週目に入りました。
いまだに課題は山積みですが、先週になって、少量ですが遺物が出土しました。
そのため、ようやく墳墓の築造時期を絞り込めるようになってきています。
また、このことにより、12・14号墳の墳形を確定することの重要性が、さらに高まってきました。
まだ、掘り下げが十分進んでいない調査区が多いですが、現地説明会にむけて、なるべく早くこれらの課題をクリアしていきたいところです・・
直江区の供養
2010.09.06
平成22年9月5日(日)、直江区が行う養老山地の三方山(標高722m)にある石碑の供養に同行させて頂きました。
この供養は春日神社の祭りに合わせて、毎年行われていますが、その由来は地元でもはっきりしないようです。
ただ、聞き取り調査で他の地区へ伺ったときに、
「三方山に、戦時中に墜落した飛行機のパイロットを供養する石碑が2つある」
というお話を聞くことができています。
また、三方山は直江区が所有しているため、この供養を直江区が行うようになった可能性が考えられるのですが、まだはっきりしたことはわかりません。
下山途中で鹿に出会いました。
僕は養老で野生の鹿を目撃したのが初めてで、びっくりしました。
象鼻山発掘状況8
2010.09.03
現地説明会まで、あと2週間ほどになり、ようやく14号墳の築造方法についても情報が得られはじめました。
写真は14号墳の墳丘断面です。
この調査区は、地山から墳頂までの高低差がもっとも小さく、整地してから墳丘の完成までがとても分かりやすいです。
埋葬はおそらく黒色土層付近でしょうね・・
12号墳と14号墳の境に設定した調査区も掘り下げが進んでおり、その前後関係についてもまもなく情報が得られそうです。
下の写真は、12号墳の石列の検出風景です。
これが墳丘の周囲を完全に巡らないことが、目下の悩みです・・