五三川は下笠輪中の悪水排水用に笠郷の五ヶ村、池辺の三ヶ村が作った人工川である。五三川の保全には笠郷に絶対的責任がある。五三川排水機の管理も、昔は笠郷の人が近くに家を建てて行っていた。五三川に関係する八地区、根古地・瑞穂・大場・下笠・栗笠・大野・船附・上之郷間で八通証文が取り交わされた。この証文により、江代米(えだいまい)や藻刈についての取り決めがなされた。江代米とは輪中の悪水を落水するにあたり、川や江を借りる為にその面積に応じて課せられる年貢米のことである。また、藻刈とは川の清掃を意味する。
大場新田の輪中を作る時に、五三川の賦課金を払い、更に新田土地改良の排水機などの賦課金も大場の住民が自分達で、いわば二重に払っている。
村の力関係について、最初は釜段が強かった。藻が生えた場合なども笠郷が刈りに行かなければならなかった。今では管理も地元管理になってしまっている。ただし、一級河川になってからは国の管理になり状況は変わってきている。
昭和10年代は、親が目を離した隙に五三川に入って亡くなる等、水場で亡くなる子どもが多かった。知っているだけで2、3人亡くなった人がいる。大人が亡くなったこともあった。昔は、普段は浅い川であっても、田植えになると田んぼに水を張るのではまると抜けなくなってしまうため、水場での事故が多かった。

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「ふるさと大場」p.19参照。 「郷土の治水」p119参照。 表示位置は五三川排水機場を示している。