養老町の石畑にはサイカチの木が1本だけある。サイカチの木は東北地方によくみられ、自然にはあまり増えず、棘があることから家の守り木とされてきた。サイカチには空豆のような大きな実がなる。長野県ではサイカチの若芽を飢饉時の代用食とした。また豆やサヤを水につけると泡が出るので天然の石けんとして洗濯に使用された。
石畑の南端にあるお宅の西北の道路際にサイカチの木が1本植えてある。敵から屋敷を守り、家に災いが入ってこないようにと植えられたのであろう。サイカチの木は字境や郡境によく植えられており、石畑のサイカチの木も、石畑の集落の入口にあたる場所に位置している。
釜段の皂莢(さいかち)という地名が残る地区には古いサイカチの木が2本残っている。かつては池辺に西皂莢という地名もあったが現在は残っていない。
下池には2012年現在サイカチが現在3本残っている。下池にあったが枯れてしまったサイカチから長野県の著名な仏師の弟子により彫刻された仏像が、祖父江善光寺に安置されている。仏像の余り木でネズミも彫られた。サイカチは神木ということで、白絹に包まれ大事に運ばれたそうである。下池のサイカチには、サイカチの木が池に埋まっていたため怪我などの災いがあったなど、いろいろな伝説がある。

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下池は池辺地区にあり、サイカチは町の文化財に指定されている。表示位置は石畑のサイカチの木を示している。